短い時間に詰め込みすぎ「ドラゴンボールZ 龍拳爆発!!悟空がやらねば誰がやる」

一言で感想 : トランクスが主役かと思えたのですが

・あらすじ

街のパトロールを続けていた悟飯とビーデルはホイという怪しい老人に、オルゴールに封印された勇者タピオンを復活させてほしいと頼まれる。ドラゴンボールによって封印が解かれてタピオンが復活したが、それは同時に幻魔人ヒルデガーンの復活をも意味していた。街で復活したヒルデガーンを倒すために悟空たちが闘う。

・見どころ!

いろいろ気になる所がある

本作は50分ほどの映画です。蛭田さんをガーンとさせたいから大ボスがヒルデガーンという名前になったというエピソードはどこかで聞いたことがありました。
あまり長くない時間ですが、いろいろな要素を詰め込んできています。
後述するようにベジータに関しては出番が足りないとも思うのですが、それ以外にもいろいろ駆け足です。

悟空たちは原作終了時点の設定のようですね。悟飯は今作中で超サイヤ人にならずに闘っています。老界王神に力を引き出してもらった、アルティメット悟飯と言われる形態ですので、超3の悟空やゴテンクスよりも強いと私は思っています。ですが今作のボスであるヒルデガーンにはいまいち歯が立っていません。

となるとヒルデガーンはゴテンクス吸収前のブウよりも強いということになるのですが、ヒルデガーンの特性として、たびたび姿が消えて攻撃が当たらない、というのがあるため、悟空や悟飯の攻撃がどれだけ効いているのかわかりにくく、強さが計りにくい敵キャラでもあります。攻撃が当たるシーンも多いので、ダーブラのつばや、ブウのチョコになっちゃえ光線が当たりそうなんですよね。

さて、今作は封印されていた勇者タピオンと、彼を兄のように慕い始めたトランクスとの心の交流も大きなテーマです。なぜいきなりタピオンに懐いているのかはよくわかりませんでしたが、ともかくヒルデガーン戦でも、その前のホイ戦でも2人の間の信頼感が醸成されていっているのがわかります。

ヒルデガーンを抑えられなくなったタピオンは、使っていた剣をトランクスに託します。トランクスはこれでヒルデガーンの体を切り裂くことに成功。一番の見せ場になりそうでしたが、なんと直後に悟空に「手を出すな」と止められてしまいます。
結局ヒルデガーンを倒すのはタイトル通りに悟空なのですが、トランクスの出番を無理やり奪ったような展開に驚いてしまいました。

エンドロールでは青年トランクスとメカフリーザ戦がバックに流れます。見ている側は、あのタピオンの剣でフリーザを切り裂いたのかと膝を打つような構成になっていて、ここは非常によいですね。あの剣はベジータ戦後の18号に切りかかったところで受け止められて刃こぼれしていましたね。

タピオン役の声優は結城比呂さん。本作ではシャプナー役としても登場しています。配役ありきでシャプナーが登場したような気もします。タピオンの弟のミノシアはクリリン役でおなじみの田中真弓さん。こちらはクリリンの登場があるから、ミノシア役でも起用されたんじゃないかと思います。今作では序盤からいたクリリンが途中から姿を消してしまうのが不思議です。
あとミノシアって何が由来の名前なんでしょうか。どうもヤシの実らしいですが、「ミノキシジル」と「プロペシア」かと思ってしまいました。

・その他のキャラクター

ベジータ

前回の劇場版に続いてベジータが今回も登場。ですが個人的にはよくわからない登場です。ドラゴンボールの原作終了時点の時系列なので、生き返った状態です。

ヒルデガーンが暴れまわっているところに登場。自宅を壊されたことに怒りながら出てきて攻撃を仕掛けますが、例によってあまり通じていません。
逆にヒルデガーンによってビルに吹っ飛ばされます。吹っ飛んだ先がどこかのオフィスで、まだ社員が働いているようです。ヒルデガーンが暴れていても帰れないオフィス。

人がいることはお構いなしにヒルデガーンはベジータめがけて火炎放射。ここでベジータは、バリアを張って周囲の人々を攻撃から守るという行動に出ます。あの冷酷なベジータが、こうやって地球人を守るようになったのだなあというのを再確認できるシーンではあるのですが、こういうシーンを入れたかったから入れたという感じがありありとしてあまり好きではないのが正直なところ。

そもそも息子のトランクスとタピオンとの心の交流が描かれているのに、そこでは父親のベジータがほぼ出番なしというのも残念。地球に染まりつつあるベジータが唐突に出てきて地球人を守りましたというのはいいんですけど、父親としてのベジータとしてトランクスとタピオンにどう接するのかというのも描けそうなテーマではなかったのかと。
まあそういうのを入れると時間が足りないのでしょうが、それならばヒルデガーン戦に無理して出さなくてもいいのにと思います。